RTX 3090をBykski製中華キットで水冷する
あらまし
RTX3090の中古相場がいい感じになってきており、一時は40万近くまで狂乱していたものが場合によっては10万以下で買えてしまいます。
流石にもうマイニング上がりの心配もないでしょう。
EKの水冷ブロックは高いうえに思わぬところで対応機種が限られる。有名どころは一通り揃っている……かと思いきや、Palit製にはなんか対応してないんですよね。
Bykskiという中国の水冷パーツ開発企業があり、これが意外と幅広いGPUに対応しています。読み方はビクスキでいいのかな。
AliExpressを巡回してるとたまに目にするやつですね。
そして安い。2万5千円くらいでバックプレート側まで冷やすフルカバーブロックが買えてしまう。
どうせなら変なことやりたい。
グラボ購入
今回はPalitのGamerock 24Gが安く買えたのでこれでやっていきます。
じゃんぱらは会員登録すると中古保証期間が1ヵ月に伸びるので、怪しい挙動を見せるようなら即返品して買いなおしてやろうという魂胆です。
幸い一発でアタリを引けました。
負荷かけるとコイル鳴きするのと、LEDの色が不均一(シアン一色にしてるはずなのに緑や青の部分が散見される)のが問題ですが、ブロックノイズが出たり突然落ちたりはしないのでまあ大丈夫でしょう。
ベンチマークを回してみると負荷99%で70度前後。あれこれ水冷クーラーいらないんじゃない?
水冷パーツ購入
動くことが確認できたので水冷パーツを購入します。
今回(次回なんてあるのか?)はBykskiの両面冷却ブロックと360mmポンプ一体型ラジエータにしました。
・ハードチューブでガチガチに固めるとメンテが大変そう
・でかいリザーバタンクはなんとなく見た目が気に入らない
・Barrowの当該キットがモジュラー構造っぽい。ロマン
という雑な決め方です。
ようはCPU用のAIOクーラみたいなものを組み立てたいわけですね。
なおこのラジエータ、全長は429mmあります。
大型ケースのP6 TGでも収めるのが大変でした。
お値段はというと送料込みで合計6万くらい。
4回ほど決済を弾かれましたが根気よくやると通りました。無理もない。
水冷キット
10日くらいで届きました。
アクリルに溝を彫り、Oリングを挟んでネジで圧着することで水密を確保する構造ですね。
ちなみにラジエータはこれ。
中央のアクリルの塊は表裏2枚の水冷プレートの水路を接合するためのブロックです。
表面を冷やしたクーラントをそのまま裏面へ注ぎ、ラジエータへ戻します。
怖いのは雌ネジがアクリルに直タップなところ。
Oリングを潰すためにトルクをかけてしっかり締める必要があるんですが、(比較的)柔らかいアクリルだと簡単にナメてしまう恐れがあります。
金属ブロックにしろとは言わないからせめて溝彫って角ナット入れるとかしてほしかったなぁ……
でかいです。文句なしにでかいです。フルキーボードよりでかいです。
各所にネジが見えてる通り、ほぼ完全に分解できます。ファンを交換する程度はお手の物。
ポンプモジュールをディスプレイ付きのものに交換するなんてこともできるようです。
このラジエータはキット商品で、ソフトチューブ、フィッティング(チューブをネジ穴に固定するための特殊ネジ)、各種コントローラ、漏れ確認用のポンプまでセットになってるのがいい。買い忘れの心配がありません。
3090分解
買っただけでは3090は冷えないのでバラしていきます。
NED3090T19SB-1021Gは🚫シールが貼ってある1本を含め、見えてるネジを外せばバックプレートがフリーになります。
シリアルナンバーシールの下にネジがあったりはしないので剥がす必要はないです(1敗)
熱伝導シリコンが粘着力を発揮しているので、うまいことひねる感じで分離します。
背面のPCIブラケットを取ったら後はGPUチップ部分だけです。
X字の銀色プレートを外します。
このプレートは板バネになっていて、チップをクーラと圧着するテンションを生み出しているようです。
LEDやファンなど3本のケーブルコネクタを外したら物理接続は全部クリア。
ここもシリコンとグリスで貼りついているので、ゆっくり剥がしましょう。
GA102-300-A1コアがお目見えです。たのしい!
コア周りのグリスはあんまり追いかけすぎないようにしておきます。
チップコンデンサ剥がしてしまう事態だけは避けたい。どうせここにグリス残ってても冷却性能には大して関係ないですからね。
水冷ブロック取り付け
説明書が公式ページに貼られた画像2枚しかないという驚愕の状況ですがやっていきます。
まずは熱伝導シリコンを適切な大きさに切ってメモリとVRMチップに載せていきます。
大きさの指示がないけどまあチップと同じくらいでいいでしょう。
プレカットなんて親切なものは存在しない。定規とカッターナイフでやっていきましょう。
CPUグリス塗って~
水冷ブロックに被せてコアチップ四隅のネジを締めます。
オリジナルのテンションプレートを使うのかと思いきや、スプリング付きのネジがついてきます。
なんか大量に余りますが予備っぽいです。気にせずいきましょう。足りないよりはいい。
裏面のVRAMにもシリコン貼って~
裏面ブロック被せて~
なおこの段階でPCIブラケットを装着していないといけませんが忘れています。
説明書はちゃんと読みましょう。
表裏接合ブロックを締めていきます。
ここの接合面がズレてるとクーラントが漏れて即死に繋がるので、バックプレート側のネジはゆるく締めるに留めておき、接合ブロックをきっちり締めてからバックプレートを固定、という順番でやるのがいいのかな。
ブラケットの付け忘れに気付いたので突っ込みます。
これで水冷ブロックは完成。
ラジエータ取り付け
ホースを切ります。
ソフトチューブなのでパイプカッターとかノコギリとか持ち出さなくてもハサミで切れます。
ただソフトチューブのままだといかんせん見た目が悪い。ツヤッツヤです。
なのでケーブルスリーブに突っ込んで誤魔化します。
外径13mmのチューブに16mm表記のスリーブを使ったけどだぶつく感じでした。
たぶん12mmか10mmのものがいいのかな。
こういう後付けできるタイプのほうが良かったかもしれない。
スリーブ端を熱収縮チューブで処理したらL字ジョイントを取り付けます。
これはローレット部分から上が水密を保ったまま360度回転するタイプのジョイントで、好きな方向へチューブを向けられます。
ラジエータに繋げたら水を入れる前に気密テスト。
キット付属のポンプで空気を吹き込んで漏れを調べます。
圧力が減っていたら漏れてるってことですね。
ただ空気は水より遥かに漏れやすいこと、このリークテスターも自転車用空気ポンプの転用っぽくてあまり厳密に気密できるわけではないこと、あたりを考えると気休め程度に思っておいたほうがよさそうです。
EKは空気注入後5分置いてリークテストしろって言ってるけどBarrowは10秒でいいって言ってるあたりも。
でも気が休まるのは大事。
注水
水を入れないと話にならないので水を入れます。
水といってもただの蒸留水だと冷却フィンを腐食させたりカビたりするようです。
自動車用クーラントを使うなんて怖い話もありますが怖い。
防腐剤と防蝕剤が入ってていいらしい。なんかのアルコール類が25%だっけ?
注水手段も考える必要があります。
漏斗でやってる怖い人たちもいますが、無限の資産をもっていない場合もっとちびちびやるのが適切でしょう。
今回はノズル付きボトルでやることにしました。ボトル本体を潰すとノズルから内容物が噴出するので、ボトルを傾ける必要がなく便利です。
気泡が残っているとポンプが音を立てるので、ちょっと入れてはポンプを回し、出てきた気泡をグラボをうまいこと動かして注水口まで移動させ、気泡を潰すようにクーラントを注ぎ足し、と根気よくつぶしていきます。
気分はラーメンあぶら集めです。
結果
そんなこんなで組みあがりました。
周囲のライトバーは3Dプリントによる自作でした。LEDストリップをシリコンで包んだ構造のライトチューブを嵌めています。
が、このチューブ結構発熱するらしく、数日で3Dプリント品がぐんにゃりと曲がってしまいました。PLAの耐熱性ってあんまりよくないのね。
現在はアルミ角材を切って曲げたものに交換して落ち着いています。
肝心の冷却性能ですが、冷えます。バチバチに冷えます。
ベンチ回して72℃ほどだったのが52℃で安定しました。実に20℃の低下です。
また副次的な作用としてグラボのファン音とコイル鳴きが消えました。
リテールクーラーは小口径ファンを全力でぶん回して冷やすのでそりゃあうるさい。シャーーーというよく響く高音がします。
実測でみるとこんな感じです。Cyberpunk2077を1440p最高画質でプレイして58℃。
やっぱり水の熱伝導性と熱容量って凄いんですね。ポンプは一応PWM制御できるようですが、騒音を考慮して最低速度で回し続けるだけでも上の通り冷えます。
結論としては、幸いうまくいったし、楽しかったのでヨシ!という感じでした。
ただ気泡抜きが面倒すぎるのでハードチューブやりたいという気持ちにはならないかな……
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